今月の主題 電気泳動の進歩
技術解説
Immunofixation electrophoresis
須藤 加代子
1
1浜松医科大学病院検査部
pp.881-887
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915190
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通常のGrabar-Williams免疫電気泳動法1)(IEP)は,まず支持体電気泳動により蛋白成分を分画し,次に抗血清(抗体)と分画された蛋白成分(抗原)を支持体内で拡散させ,抗原抗体反応を行うものである.それに対して1969年Alperら2)により報告されたImmunofixation electrophoresis (IFE)は支持体電気泳動後,ゲル内拡散を行わず,電気泳動によって分画された蛋白成分のうえに直接抗血清を作用させて抗原抗体反応を行う方法である.IFEの特徴は抗原が電気泳動された位置に拡散せずに免疫固定されることである.したがって,①近接した易動度を持つ複数の同種蛋白(複数のM蛋白,ハプトグロブリンの遺伝的な型別など)の固定3〜5)が可能であること,②IgM型M蛋白のL鎖の同定のように,IEPにては同定が困難な例においても,メルカプトエタノール処理をせずに同定できること,③微量の抗原を鋭敏に検出できること6)などが,IEPよりもIFEの優れている点である.
しかし本法は拡散を行わず直接抗原抗体反応を行うので,見掛け上の適合比の幅が狭く,地帯現象を起こしやすいので抗体の力価に合わせて抗原の量を調節する必要がある.
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