今月の主題 電気泳動の進歩
技術解説
細胞電気泳動
橋本 信也
1
1慈恵医科大学・第3内科
pp.888-893
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915191
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細胞電気泳動法はかなり古くから多くの研究者たちの関心を集めてきた.しかし血漿成分の電気泳動法が著しい進歩を遂げてきたのに対し,細胞電気泳動法の研究,普及は遅れていたようである,細胞電気泳動法も原理的には通常の血清蛋白電気泳動法と同じであるが,異なるところは細胞という粒子をメジウムに浮遊させて霜気泳動を行い,細胞の移動する状態を顕微鏡下で観察する点である.顕微鏡下で移動する細胞の泳動時間をストップウォッチで測定する方法が分析用細胞電気泳動法(analytical cell microelectrophoresis)であり,普通細胞電気泳動というとこの方法を指している場合が多い.他に細胞を電気泳動度の差で分画する分離用無担体細胞電気泳動法(free flow cell electrophoresis)がある.
本稿では現在比較的広く用いられている分析用細胞電気泳動法について述べる.本法の基本的な点は,適当な電解質溶液に浮遊させた細胞が電場内を陽極側へ移動する速さを測定することにあるが,この移動する速さは細胞膜表面荷電密度に比例する.普通生理的には細胞は陰性に荷電しているから,細胞電気泳動は細胞膜表面の陰性荷電量に影響されることになる.
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