臨床化学分析談話会より・65<関東支部>
等電点電気泳動法と等速電気泳動法の解析力—期待される臨床化学への応用
大竹 皓子
pp.166
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915021
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第216回分析談話会関東支部例会(1978.10.17)は東大薬学部記念講堂において開かれた.今回は①セルロースアセテート膜等電点電気泳動法の分析技術とその応用(東大・医科研アレルギー学研究部 臼井美津子先生),②等速電気泳動法の臨床化学への応用(埼玉医大・生化学教室坂岸良克先生)の2題で,臨床化学分析への応用を中心として話題を提供していただいた.
まず,臼井先生はセルロースアセテート膜(セ・ア膜)を支持体とする等電点電気泳動法の分析法について詳しく解説された.通常の電気泳動に用いられるセ・ア膜は多かれ少なかれ電気浸透度を有するが,この性質は等電用支持体としては不都合であり,従来からポリアクリルアミドゲルが主に用いられていた.しかし,近年電気浸透度のほとんどない膜が開発されたことにより,操作が非常に簡便になり,両性担体のAmpholineの溶液を膜に均一に浸み込ませるだけで支持体の調製が済み,そのうえ微量試料を同時に多数処理することができて,分析精度も従来の方法と比較して遜色のないことを示された.更に,試料成分を細分画してPIを測定するだけに限らず,等電点分画終了後に酵素染色を応用すれば,分画された成分の生物活性を調べることも可能であり,また特異抗体を用いて免疫固定(immunofixation)法を行えば抗原分析も同時にできることなど,臨床化学分析には有用な手段であり汎用性があることを示された.
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