Ex Laboratorio Clinico・25
半分子IgA型骨髄腫
河合 忠
1
,
櫻林 郁之介
1
1自治医科大学・臨床病理学
pp.57-61
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914994
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はじめに
半分子IgA (half-molecule IgA,HM IgA)は正常ヒト血清中には存在しない異常免疫グロブリン分子で,極めてまれなものである.
免疫グロブリン分子はよく知られているように,通常1対のH鎖と1対のL鎖から成っており,そのH鎖間及びH鎖L鎖間は二重イオウ結合(disu1-fide bond,—S-S—)で連結されている.この構造は各免疫グロブリンクラスに共通であるが(一部例外はあるが),HM IgAは構造上,1個のH鎖であるα鎖と1個のL鎖とから成り立っており,ちょうど真ん中から二つに割れてしまった異常免疫グロブリン分子ということができよう.更にこれらHM IgAはただ2分割されただけではなく,今まで報告された症例のすべてにおいて,α鎖のポリペプチド鎖のどこかに欠損があり,そのために完全な分子となりえないことがほぼ確実視されている(図1).
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