技術解説
網膜電図の記録
横山 実
1
,
紀平 やす子
1
1三重大学・眼科
pp.255-260
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914689
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光が眼内に射入した場合,網膜及び色素上皮の付近に発生する電位変化を網膜電図Electro-retinogramと言い,一般にERGと略称されている.Holmgren1)の発見後,Granit2)はERGを三つの要素電位に分析し,続いて本川によるχ波,Brown及びMurakami4)による早期電位(ERP),Cobb5),米村6),永田7)らによる律動様小波などが新しい要素として加えられ,最近は更に直流成分についても新たな検討が加えられつつある.もちろん,これらの要素電位あるいは成分波のすべてが簡単に記録され,直ちに臨床診断に利用できるわけではないが,その応用範囲は徐々に拡大されつつあり,眼科診療における他覚的検査の主力としてERGには大きな期待がかけられている.
本論に入る前に,まず基本的なGranitらの要素電位とERG成分波の関連性についての図説を図1に示す.実験は暗順応したネコの眼について行われた.基線に対してはP III陰性,P I,P IIは陽性であるが,それぞれに発生と時間経過が異なっていてその代数和が早いほうからa波,b波及びc波となって記録される.光刺激の遮断によって,P II,P IIIは基線方向にもどるが,やはりその代数和がd波として表現される.ただマイクロ秒単位の閃光が刺激として使われる場合はd波は記録され難い.
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