技術解説
セロトニン測定法
瀬川 富朗
1
,
岩田 典子
2
,
天本 貴
2
1広島大学・薬学科薬物学
2広島大学神経精神医学
pp.374-378
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914323
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セロトニン(5-hydroxytryptamine;5-HT)はいわゆる生体活性アミンの一種で,ヒトの体内には約10mg含有されていると推定される.
その90%は消化管のエンテロクロマフィン細胞に,残りが血液中の血小板と脳とに分布している.この物質の生理的意義についてはなお不明の点が多いが,中枢神経系の伝達物質の有力な候補者と考えられるところから,精神機能(特に情緒)の保持に重要な役割を演ずることが示唆されている1).例えば,躁うつ病患者では髄液,脳中のセロトニン代謝産物5-hydroxyindoleacetic acid(5-HIAA)が減少しているとともに,セロトニン代謝が低下している.また,抗うつ薬は脳内神経終末部への5-HTの再取り込みを著明に抑制する.更に,中枢神経系のみならず,末梢臓器においても,胃潰瘍,ダンピング症候群,カルチノイドなど,5-HTの変動を伴う疾患が多い.したがって,臨床検査の段階で血中の5-HT量,及び尿中の5-HIAA量を測定する必要が今後増えることが予想される.このような意味から,今回,血中5-HT,尿中5-HIAAの定量法について解説を試みた.
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