今月の主題 精神疾患をめぐる臨床検査
カラーグラフ
老年性精神疾患の病理組織検査
朝長 正徳
1
,
最勝寺 順子
1
,
宇野 雅宣
1
1東京大学医学部脳研究施設脳病理学部門
pp.1714-1716
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914202
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脳の標本は,他の臓器と異なり神経細胞,グリア,神経線維(軸索,髄鞘)が主体であるために,特殊な染色法が開発されている.もちろん,血管やその周囲の結合組織あるいは脈絡叢は他の組織の染色と同じである.したがって,病的変化をキャッチするには,この特殊染色が必須といえる.最近では,このような脳の構成成分に対するいろいろな抗体が作られ,また異常構造や沈着物に対する抗体がほぼ市販されているので,これらを用いた免疫組織化学がしだいにルチン化されつつある.これらの比較により,今まで染色していたものがどういう物質であったか,どういう意義があったかわかるようになった.これには最近の分子生物学の進歩がある.しかし,免疫組織化学は大量の標本の処理には経済的な面からもあまり向かない.この点は古典的方法の方が有利である.今後は両者をうまく併用することが重要であろう.
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