今月の主題 血小板・凝固・線溶系の分子マーカー
線溶
フィブリン崩壊マーカーFDPDダイマー
香川 和彦
1
,
天野 景裕
1
,
緇荘 和子
1
,
池松 正次郎
1
Kazuhiko KAGAWA
1
,
Kagehiro AMANO
1
,
Kazuko KUROSOU
1
,
Shojiro IKEMATSU
1
1東京医科大学臨床病理学教室
キーワード:
FDP
,
Dダイマー
,
DIC
,
酵素免疫測定法
,
ラテックス凝集法
Keyword:
FDP
,
Dダイマー
,
DIC
,
酵素免疫測定法
,
ラテックス凝集法
pp.1625-1630
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914185
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フィブリノゲン-フイブリン反応系にプラスミンが作用して生じたFDPは,種々の分画を有するheterogeneityに富んだ物質群である.安定化フィブリンからの分解産物は,Dダイマー分画を含むことが特徴で,この分画を中心としたDダイマー関連物質の測定は血栓溶解の有無,すなわち二次線溶をとらえることを目的としている.通常,血中には微量にしか存在しないDダイマー関連物質は,線溶系の分子マーカー,特にフィブリン崩壊マーカーとしてDICなどを中心に重要視されている.このDダイマーの測定を目的として現在数種類のキットが市販されているが,いずれもDダイマーに対するモノクローナル抗体を用いた免疫学的測定法によるものである.測定系は定量的にはEIA,半定量的にはラテックス凝集法を中心に構成されるが,測定法によりFDP分画に対する特異性,反応性は異なり,その選択や解釈には注意を要する.
DIC症例では従来のFDP値と同様に高値を示すが,一部では一次線溶やプラスミン以外の酵素の関与も示唆され,今後さらに検討されなければならない.
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