今月の主題 注目される寄生虫・原虫疾患
技術解説
DNAプローブ検査法
菅根 一男
1
Kazuo SUGANE
1
1信州大学医学部寄生虫学教室
キーワード:
DNAプローブ
,
マラリア
,
リーシュマニア症
,
オンコセル力症
,
分子生物学
Keyword:
DNAプローブ
,
マラリア
,
リーシュマニア症
,
オンコセル力症
,
分子生物学
pp.508-514
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913971
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特異性のある感度のよい標識DNAプローブを用いて,寄生虫ゲノムまたは運動核DNAとhybridizationを行う診断(同定)法が検討されている.開発途上国に莫大な感染人口をもつマラリアでは,疫学調査などの目的で従来からの血液塗抹標本による診断法に代わり,合成されたDNAプローブを用いた診断法が開発されつつある.やはり,世界中に多数の罹患者が存在するリーシュマニア症では,この原虫の分類学的な意味での再検討も含めて,特異的DNAプローブを用いた診断法が研究され,種類と病気の予後との関係が明らかにされつつある.また中南米,アフリカの河川近郊に流行地があり,感染後失明することで知られるオンコセルカ症では,失明率の低い熱帯雨林型に特異性のあるDNAプローブが作製され,失明率が高く形態学的に区別がつきにくいサバンナ型と選別し,予後を予測しようとする試みがなされている.
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