今月の主題 加齢と臨床検査
カラーグラフ
老化促進モデルマウス
黒住 眞史
1
,
松下 隆壽
2
,
小岸 久美子
2
,
竹田 俊男
2
Mafumi KUROZUMI
1
,
Takatoshi MATUSHITA
2
,
Kumiko KOGISHI
2
,
Toshio TAKEDA
2
1京都大学胸部疾患研究所検査部
2京都大学胸部疾患研究所老化生物学分野
pp.138-140
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913901
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1968年,ジャクソン研究所より京都大学胸部疾患研究所病理学部門(現;老化生物学分野)に移入したAKR系マウスを兄妹交配により継代維持していたところ,正常な成長の後,急速な老化徴候が見られる腹に気づき,このような老化が進んでいると考えられるものから7系統を分離した.これらに共通な老化徴候は活動性低下,脱毛,被毛光沢減退,被毛粗雑,眼周囲病変,脊椎前後轡増強で,正常な成長の後に急速に現れ不可逆的に進展する「促進老化」に特徴がある.したがって老化促進モデルマウス(Senescence Accelerated Mouse-Prone:SAM-P)と命名された.系に特徴的な病態としては白内障,骨粗鬆症,老化アミロイド症,変形性顎関節症,免疫能低下,学習・記憶障害などがある.また対照として同じくAKRに由来し,正常老化を示す3系統をSAM-Rとした.これらのモデルはヒト老化に伴う諸病態の解明のみならず,老化基本機構解明に貢献することが期待される.
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