特集 アイソザイム検査
II.各論
17 β-D-グルクロニダーゼ
篠原 兵庫
1
Hyogo SINOHARA
1
1近畿大学医学部第二生化学教室
pp.1334-1338
発行日 1988年10月30日
Published Date 1988/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913801
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アイソザイム分画の性状
1.β-グルクロニダーゼの一般的性状1)β-D-グルクロニダーゼは,非還元末端にあるβ-D-グルクロニドを加水分解する.この酵素のアグリコン(図1のR)に対する特異性はきわめて低く,アルキル基,アリル基,各種の色素,ステロイドなどのグルクロニドを加水分解する.また,グルクロン酸のC1との結合がエーテル結合(二つの水酸基から水1分子がとれてできた結合)であってもエステル結合(水酸基とカルボキシル基の間から水1分子がとれてできた結合,例えばビリルビングルクロニドなど)であっても同じく作用する.しかし,1β結合,2D-グルクロン酸,および3非還元末端の3点に対する特異性はきわめて高く,この部分が異なった配糖体は水解しない,したがって,多糖鎖の中に存在するグルクロニド結合は切断しない.そのため,グルクロン酸を鎖中にもっている多糖,例えばピアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのムコ多糖(グリコサミノグリカン)そのものは水解しない.これらの多糖は,まずピアルロニダーゼのようなエンドグリコシダーゼによってオリゴ糖にまで分解された後,β-グルクロニダーゼの作用を受ける.
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