今月の主題 心電図の最前線
病態解説
徐脈性不整脈はなぜ起こるか
山口 巌
1
Iwao YAMAGUCHI
1
1筑波大学臨床医学系内科
pp.539-546
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913649
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徐脈性不整脈の成因には自動能の抑制と刺激伝導の遅延および杜絶があり,臨床的結果としての洞不全症候群(sick sinus syndrome)と房室ブロックの診断と病態の把握は予後の予知と治療の選択に重要であるばかりでなく,頻拍性不整脈との関連性についても注目されている。洞不全症候群には内因性および外因性洞結節機能障害があり,その臨床像は補充収縮の機能に大きく依存し,病態が洞結節のみにとどまらないことを示している.房室ブロックは表面心電図所見によって,1度,2度および3度に分類され,臨床像は主としてブロック部位に依存する.いずれにおいても,病態の確実な把握と治療の決定にはHis束心電図を含む電気生理学的検索が不可欠であるが,表面心電図所見は重要な情報を提供する.QRS幅は補充収縮の発生部位と房室ブロック部位の予測に重要であり,右脚ブロックに伴うQRS電気軸の偏位により分枝ブロックの診断が可能である.
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