特集 生検の進歩
I 臓器別生検
i 組織診
6 腎
重松 秀一
1
Hidekazu SHIGEMATSU
1
1信州大学医学部病理学教室
pp.1203-1207
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913455
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はじめに
腎疾患における臨床症状や経過は,種々の病態に共通して存在したり変動したりすることがあるので,疾患の分類には適当ではない.現在,腎糸球体疾患で広く受け入れられているのが,形態像を基本にした組織分類である.そのため腎臓病を専攻する内科医,小児科医は病理形態像に必然的に関心をもたざるをえず,病理医,臨床検査技師との間に形態学を中心にしたやりとりも多くみられることになる.腎生検は腎疾患の診断のみならず,治療の選択,予後の推測,経過の把握などそのもつ意義は大きい.経皮的腎生検法が1951年にIversenとBrunによって紹介され,また電子顕微鏡や免疫組織化学が一般的に生検材料に応用されるに従い,これらの手段をフルに利用して組織学的診断はより詳細になってきた.糸球体疾患の組織学的分類はChurg博士を中心とするWHOの共同研究班により1982年に全世界的に受け入れられる形のものにまでまとめあげられる段階になった1).
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