糖鎖の分析法・4
糖蛋白質糖鎖の機能とその癌性変化—2.ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン
天野 純子
1
Junko AMANO
1
1東京大学医科学研究所生物有機化学研究部
pp.421-428
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913298
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はじめに
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(human chorionicgonadotropin;hCG)は古くからアミノ酸配列が解明され,また最近,糖鎖構造も決定され,ヒトの糖蛋白質ホルモンの中ではもっともよく研究されているが,その生体内での正確な機能および作用機序は判明していない.しかし,LH/hCGレセプターも単離され始め,hCGの生理活性発現に糖鎖が必須であるという,さまざまな方法で調べられた重要な知見も蓄積しつつある.
またhCGは臨床検査上きわめて重要な分子であり,妊娠時をはじめとして,絨毛性疾患やある種の癌で検出され,それらの診断の一助となっていることは周知のことである.さらに,筆者の所属する研究部では,絨毛性疾患患者由来hCGの糖鎖構造を比較研究することによって,蛋白質部分は同一でありながら,糖鎖部分のみが絨毛癌で特異的に変化することを見いだしており,hCGの糖鎖は腫瘍マーカーとしてきわめて有用であることが示唆されている.
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