学会印象記 第25回日本エム・イー(ME)学会
医学と工学が直結した研究を目ざして
山下 安雄
1
Yasuo YAMASHITA
1
1東海大学医学部ME学教室
pp.857
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913037
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第25回日本エム・イー(ME)学会大会は1986年4月28日から3日間,東京の平河町にある日本都市センターにおいて開催された.MEとは医工学(medicalengineering)の略称であって,医学・医療と理工学の境界領域における学際的な研究協力と知識・情報の相互交流を目的としており,関連分野では最大規模の学会である.今大会の特別企画は,招待講演,大会長講演,シンポジウムI〜III,ワークショップ4題,特別展示などであった.招待講演は,旭川医大生理学の森茂美教授により「人間の具えたセンシング機構」と題して,姿勢制御を例として感覚情報を受容する中枢神経機構とその機能動態の解説がなされ,精緻を極めた人体の感覚と制御の関係を理解するうえできわめて有益であった.大会長講演は東海大生理学の沖野遙教授が「センサーの開発と私」と題し,長年にわたる循環器系のセンサーの研究開発を顧みて,研究法や生体情報の計測法に関するものであった.その中で計測技術の臨床応用に際しては,生体環境での特異な要求と原理との矛盾の理解と妥協が重要であると話され,ME研究者に強い感銘を与えた.また大会長の要望により,本講演に関連した圧力,偏位,流れなどのME用センサーが展示され,近年のIC技術による超小型多機能化の過程が手にとるように理解できた.
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