病院の広場
包括医療を目ざして
佐藤 智
1
1社会福祉法人東京白十字病院
pp.21
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204283
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東京の都心から,車で1時間西北へ行った狭山丘陵の一角,1万余坪の中に白十字会村山サナトリウムが創立されたのは,昭和17年である.野村実前院長は,昭和26年からその責任をもち,患者を全人間としてとらえようと努力され,他に先がけて作業療法,メディカルケースワーカーをおき,患者環境を整備した.そして,ともすると病気をみて病人をみない治療のなかで,医療の本質を追求し,医療は非収益事業であるという立場に立ってこられた.そのために経営は苦しくなり,諸般の事情もあって昨年9月に辞任された.
私は,‘病院は非収益事業であり,本来消防署のようにコミュニティ(地域社会というだけでなく,更に広い共同意識社会)に支えられるべきである,という考えを野村前院長などから,長年にわたって教えられてきたので,従来の人間中心医療に加えて,このコミュニティに支えられた医療を具現できるならば,と考え,困難を承知でお引受けした.
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