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ラジオイムノアッセイによる神経特異エノラーゼ測定の基礎的検討と神経芽細胞腫スクリーニングへの応用
福士 勝
1
,
荒井 修
1
,
水嶋 好清
1
,
花井 潤師
1
,
高杉 信男
1
,
武田 武夫
2
1札幌市衛生研究所
2国立札幌病院小児科
pp.773-777
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913014
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はじめに
エノラーゼは2—ホスフォグリセリン酸から2—ホスフォエノールピルビン酸への反応を触媒する解糖系酵素の一つであり,分子構造的にはα,β,γの三種のサブユニットより成る二量体として存在し,γγ,αβ,ββ,αγおよびγγの五種のアイソエンザイムが知られている1,2).このうちγサブユニットを有するαα,αγのアイソエンザイムは神経細胞と軸索突起に特異的に高濃度に存在することから,神経特異エノラーゼ(neuron-specific enolase;NSE)と呼ばれている3,4).1981年にTapiaら5)により神経内分泌細胞に由来する腫瘍にNSEが存在することが報告されて以来,NSEの血清腫瘍マーカーとしての意義が,神経芽細胞腫,神経内分泌細胞腫,肺小細胞癌において報告されている5〜10).
NSEの測定には,Marangosら4)やPhlmanら11)によりラジオイムノアッセイ(RIA)が,Katoら12)によりエンザイムイムノアッセイ(EIA)がそれぞれ開発されている.今回,著者らは,抗NSE家兎血清を用いた二抗体法による血清NSE測定のRIAキットの基礎的検討を行い,さらに小児期のNSEレベルと神経芽細胞腫患児のNSEレベルの比較も行ったのでその結果について報告する.
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