今月の主題 まちがいやすいGram陽性菌の同定法
総説
Bergey細菌分類学マニュアル第1巻(初版)の特色
藪内 英子
1
Eiko YABUUCHI
1
1岐阜大学医学部微生物学
pp.405-413
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912541
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はじめに
Bergey's Manualはdeterminative bacteriologyすなわち分類学の研究によって組み立てられた分類体系に従って未知菌株を同定するための手引き書として1923年にその初版が出版され,1957年の第7版の刊行まで数年ごとに改訂されてきた.その後細菌分類学が著しく進歩したこと,および国際細菌命名規約の大幅改正と細菌学名承認リストの刊行が計画されていたことと相まって第8版が世に出たのは1974年であり,その間に17年が経過していた.
同定マニュアルの第7版までは細菌は植物界(Plant Kingdom)の原生植物門(Division Protophyta)として扱われ,分裂藻類(SchizophyceaeCohn 1879)と分裂菌類(Schizomycetes vonNaegali 1857)の二つの綱(Class)からなっていた.一方1958年に単行本として出版された命名規約は,International Code of Nomenclature ofBacteria and Viruseという標題が示すように細菌のみならずウイルスの命名にもかかわっていた.しかし1966年には細菌の命名だけを対象にしたInternational Code of Nomenclature of Bacteriaが発表され,1974年の同定マニュアル第8版では原核生物界Kingdom Procaryotaeが巻頭に明示されCyanobacteriaとBacteriaの二つの門が設けられた.これによって細菌は動物界および植物界とは別の独自の界に所属し独自の命名規約を持つこととなった.
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