特集 産業医学と臨床検査
Ⅱ.有害因子と臨床検査
1 物理的因子
2 圧力
中山 英明
1
Hideaki NAKAYAMA
1
1産業医科大学病院高気圧治療部
pp.1298-1301
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912354
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□生体と圧力
われわれの体は固体,液体,気体から構成されている.また,通常われわれの遭遇する圧力の範囲では,固体はその性状を変えることはなく,また液体はその容積を変えないが,気体と液体を接するとき,気体の構成ガス分圧に応じて気体が液体中に溶け込む性質を有している(Henryの法則).一方,気体は圧力に応じてその容積を変える(Boyleの法則)ばかりか,生体への影響は分圧に応じて変化するので,複雑である.圧力が生体へ及ぼす影響には,大別してガス分圧の影響と,圧変化に伴うガスの容積変化がもたらすものとがある.さらに,圧力の変動は大気圧を中心にして高低の二方向があり,極端な低圧は宇宙飛行士などが暴露される危険があるが,健康障害として考えるとき,圧力の単一の因子としてより,無重力,加速度などの諸因子と複合してより強い影響を現すと考えられる.亜成層圏を飛行する航空機は,一般に与圧されており,破壊されない限り人体に悪影響を及ぼすことはまずない.登山や高地の生活が,健康障害の研究の対象としてもっとも選ばれやすい.これらの低圧環境における健康障害については,問題の羅列にとどめる(表1).
逆に,高圧環境は水圧の影響を直接受ける潜水作業がその代表的なものであるが,職業的なものが多くその対象は限定される.
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