基礎科学からの提言・14
バイオセンサーの医療への寄与
軽部 征夫
1
Isao KARUBE
1
1東京工業大学資源化学研究所
pp.959-965
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912270
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はじめに
医療分野では,生体成分の分析は診断と治療に不可欠であり,検査項目が多様化し,検体数は増加の一途をたどっている.そこで臨床化学分析を迅速,簡単に行う方法や装置が要望されていた.
実際には溶液状の酵素を用いて,体液成分を自動的に分析するオートアナライザーが開発され,病院などの臨床検査に用いられている.しかしオートアナライザーにもいくつかの問題があることが指摘されている.例えば①高価な酵素を分析のたびに使用する,②大量の発色色素を含む廃液が生じる,③着色試料液(溶血試料など)の場合に問題が起こる.④緊急用に利用できないなどである.そこで生体成分を迅速,簡単に測定する酵素電極が考案されるに至った.これを用いると①試料液を直接計測でき,②着色試料への適用も可能であり,③きわめて簡単に操作でき,④迅速かつ選択的に測定対象物を計測でき,⑤ベッドサイドで用いることができ,⑥電気信号として情報が得られるなどの利点を有している.ここではこれらのセンサーの医療への寄与について述べる.
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