今月の主題 新しいウイルス検査法
技術解説
標識抗体法
武田 久雄
1
1国立予防衛生研究所ウイルスリケッチア部
pp.975-982
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911330
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標識抗体法にはここに紹介するラジオイムノアッセイ(RIA)のほか,螢光色素を用いた免疫螢光抗体法,ペルオキシダーゼを抗体に標識した免疫ペルオキシダーゼ反応,フェリチンを標識したフェリチン抗体法,アルカリホスファターゼやペルオキシダーゼのような酵素で標識した抗ヒトIgG,IgMヤギ血清を二次抗体に用いた酵素結合免疫吸着剤法(enzyme linkedimmunosorbent assay;ELISA)などの方法がある.これらの方法の中で最も感度が鋭敏で特異性が高い方法がRIAで,微量の抗原や抗体を検出する方法としてはこれ以上の方法はない.
1962年にGerloffらが,32Pで標識したポリオウイルス2型を用いてラジオアイソトープ免疫沈降反応を行い感度が高いことを報告して以来,手法上の工夫がいろいろ加えられて,現在血液銀行でのB型肝炎ウイルス抗原と抗体の検査をはじめ,広く臨床検査や研究室の仕事に,RIAは用いられている.特記すべきは,RIAのウイルス学的診断への導入は,その感度の良さから,従来2週間くらいの間隔が必要だったペア血清の採取が5日〜1週間に短縮されてもIgG抗体の上昇の証明が可能になったことであり,感染初期に発現するIgM抗体の証明とともに感染初期に迅速に診断ができるようになった.これはウイルス疾患の診断上画期的な進歩と言える.
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