Senior Course 共通
電気による災害予防
長尾 透
1
1社会保険中央総合病院
pp.1106-1107
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909526
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臨床生理検査室で使われているME機器は,ほとんど交流電源から得られた電流で動かされている.この交流電流が万一の事故により人体に流れ込めば電撃を受け,不幸な場合には死ぬこともある.電流が人の組織内をどのような経路で,どのような電流密度で流れたかによって,その危険度も大きく異なる.一つはマクロショックと呼ばれる電撃で,これは電流が皮膚を通じて体外から流れ込み,体外に流れ出たときである,他の一つはミクロショックと呼ばれるもので,これは電流が皮膚を通さず,組織を通じて直接心臓に流れ込み,体外に出るものである.我が国で日常使われている交流は,100V,50または60Hzの電流である.
電撃の際の人の反応をみると,マクロショックのときには1mVくらいでビリビリと感じ,この電流を最小感知電流という.次いで電流が増すと,電流の出入部位の筋肉がけいれんを起こし,苦痛を伴うようになる.そして電源から手を離すことができなくなる.このときの電流を離脱電流と呼んでいる.その限界は10〜20mAといわれている.更に強まれば,痛み,気絶,激しい疲労を起こし,ついに心臓,呼吸系統は興奮する.そして100mA〜3Aくらいとなれば心室細動を起し死に至る.この中で安全対策に大切な値は最小感知電流であり,電流それ自体に危険はないが,不意のショックを受げると,驚いて,二次的災害を起こすおそれがある.
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