総説
急性発疹性疾患と検査
横田 万之助
1
1都立広尾病院
pp.25-30
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909235
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"急性発疹症"というものは,文字どおり急性に,各種の形態の発疹を主徴とするもので,病因的には"感染症"であるもの,と定義しておく.実地臨床上では,この部類に属するものは決して少ないものではなく,殊に,近来のウイルス学上の進歩は,伝染性(人から人へ移ってゆくもの)の発疹症の本態を解明してくれたが,一方,1967年に川崎(富作,日赤医療センター)が報告した,いわゆる"川崎病",学問的には"急性熱性粘膜皮膚リンパ節症候群MCLS"のごとく,まだ病因もはっきりしない,しかも,我が国にだけ知られているようなものもある.
ところで,医師と検査技術者とは,いわば車の両輪のごとくで,現在のシステムの中では,もはや,両者を引き離しては相互に存在しえないところまできている──両者の緊密な連係が,更に望まれる理由である.一例として,日本と西ドイツとの猩紅熱──両方の国で,法定伝染病である──の届出の実態を表1に示しておく.届出は医師の側の最も大切な義務の一つであるが,残念ながら,日本での医師の届出の少ないことは既に定評のあるところ.ひとつ,検査室の側から,のどの粘液の検査に当たった時は,こういう実態を知っていて,検査をしていただきたいもの,と思うからである.一方,届出を受けた側は,その成績を速やかに医師の側に返すのが至当である──アメリカのMMWRのように!
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