総説
TPHAテストの迅速化,特にMicrotiter法の応用
岩下 健三
1
,
相河 和夫
2
1日本赤十字社血液センター連盟
2東京都赤十字血液センター
pp.1323-1329
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909184
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梅毒の血清学的検査法には,従来のCardio-lipin-LecithinによるSTS(serologic test forsyphilis)とNelson-Mayer(1949)により開発された梅毒病原体(Treponema Pallidum)由来の抗原によるTp抗原反応とがある.前者にはガラス板法,緒方法,Kolmer法など,また,後者にはTPI, FTA-ABS, TPHA法などがあるが,前者,すなわちSTSだけで梅毒と断定することの危険なことはいうまでもない.
というのは,第一にSTSは陽性でも梅毒でないもの,すなわち生物学的偽陽性反応(biologi-cally false positive reaction, BFPといわれる)がマラリヤ,癩をはじめ多数知られているからであり,また,第二にはSTSは陰性でも梅毒であるもの──古い梅毒であるが──が少なからず見出され,かかる例からの感染が決して少ないとはいえないからである.
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