Senior Course 生理
スパイロメトリーと換気力学 Ⅰ
西島 昭吾
1,2
1日大・第1内科
2肺機能検査室
pp.806-807
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909054
- 有料閲覧
- 文献概要
スパイログラムでの1秒量(FEV 1.0),1秒率(FEV 1.0%),ならびにMMFなどは,気道および肺の抵抗/肺気量(Specific Resistance)と逆相関がみられ,また,肺活量,機能的残気量は,肺のコンプライアンス(Compliance)との相関がみられるなど,スパイロメトリーは肺の換気力学的特性と関連することが知られている.
反面,スパイロメトリーは,被検者の十分な協力を必須条件とし,被検者の作りうる最大の駆出圧(Driving Pressure)に依存し,加えて技術者の熟達の度合,および機械そのものの特性(ベルの慣性)などの影響を受けるため,データーのバラツキ幅が広く1),異常値の検出能力に大きな制約がある.近年,Small Airway Diseaseなど末梢病変,および肺内の換気不均等性の問題の重要性が認識されるに及び,それらの探知能力に関して,スパイロメトリーはほとんど無力に近く,V-V曲線(気流―気量曲線),Closing Volumeおよび呼吸数増加時の動的コンプライアンスなどが,新しい検査法として臨床検査に登場した.これらの検査法の理解と評価へのアプローチの一手段として,今日まで換気機能検査の基本的検査法として最もルチーン化されてきたスパイロメトリーに関し,換気力学的にその関連性を考えてみたい.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.