Senior Course 血清
—最新の免疫学的検査法—β2ミクログロブリン—1.基礎
冨永 喜久男
1
1九大医療短大部
pp.112-113
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908859
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スウェーデン,ウプサラ大学のBerggårdは,1960年代初めから尿タンパク,殊に正常尿タンパクについて精力的な研究を進めてきた研究者で,尿タンパクに関する近年の免疫化学的知見は彼を抜きにしては語れない.このBerggårdが,1968年ロックフェラー大学のBearnと共著で,それまで知られていなかった人体のタンパクとしてβ2-microglobulin(β2ミクロと略す)を初めて記載した.後で述べるようにこのタンパクは小分子量ではあるが,免疫学の分野で近年にわかに注目をひくようになってきた.それはこのタンパクが免疫グロブリン(Ig)ないし抗体と,組織適合性抗原(Histocompatibility Antigen)とを結びつける物質と考えられるようになったからである.最近,β2ミクロをHL-A抗原(Human leucocyte antigen,ヒトにおける組織適合性抗原の主要なもの)の一成分と同定する報告があい次いだことにより,ますますその傾向が強くなってきている.
このβ2ミクロは初めWilson病,慢性カドミウム中毒,その他数種類の疾患患者尿,正常人の尿および血漿,神経学的に異常ない人の脳脊髄液を材料とし,ゾーン泳動法,G100,DEAE,Sulfoethyl Sephadexなどによるカラムクロマトグラフィーの組み合わせで分離,精製された.
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