特集 日常臨床検査法
Ⅴ.細菌
4.臨床細菌検査における菌の同定の将来
坂崎 利一
1
1国立予防衛生研究所細菌第1部
pp.1514-1517
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908819
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細菌を取り扱う場合には,意識するしないにかかわらず菌の同定が常に付随しているが,その同定をどこまでの範囲で行うかは,菌の種類,目的,同定する人の立場,研究室の規模などによって異なってくる.たとえば,われわれの研究室では腸内細菌の同定には必ずしも生化学的テストのみにとどまらず,必要な場合にはDNAのGC%,あるいはDNAの相同性についても調べ,さらに血清型やファージ型の決定まで行うが,臨床検査室における同定はごくわずかのテストで属か,詳しく行って種までの範囲にとどまっている.これは,同じ同定作業であっても,目的と必要性が異なるからである.したがって,"細菌の同定の将来の動向"を語るにしても,必ずしも一律には述べられないであろう.しかし,本誌の対象とするところは"臨床検査の中の同定"であろうと思われるので,それを中心にしてわたくしの考えを述べてみたい.
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