走査電顕の目・15
尿沈渣—円柱
木下 英親
1
,
田崎 寛
1
1慶大泌尿器科
pp.343-344
発行日 1974年3月15日
Published Date 1974/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908484
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尿沈渣の有形成分のひとつである円柱は,遠位尿細管以後の集合管系にでき,内腔の鋳型であるとされている.ムコプロテイン(Mucoprotein)と少量の血清タンパクにより成り,剥離された尿細管上皮およびその変性したもの,その他の成分が加わったもので,含有する成分と外観とにより,ガラス円柱,上皮円柱,顆粒円柱,赤血球円柱,白血球円柱,螺様円柱,脂肪円柱などに分類されている.円柱の存在は,尿細管腔の一時的な閉塞があったことを意味していて,腎実質疾患の診断および予後を判断するうえに重要である.
写真は,32歳男子の尿沈渣中の円柱である.タンパク尿を指摘され,尿沈渣中に赤血球1視野に多数を認め,顆粒円柱,ガラス円柱がみられ,諸検査により慢性腎炎と診断された患者の尿沈渣を,2.5%グルタールアルデヒド(0.1Mリン酸緩衝液pH7.4)で固定し,アルコールアセトン系列で脱水し,カーボン,金で蒸着をし,JSM-U3型走査電顕で観察を行った.
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