ひろば
物価の高騰に悩む
村田 徳治郎
1
1慈生会ベトレヘム病院臨床検査科
pp.188
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908438
- 有料閲覧
- 文献概要
ピペット操作している時,試験管に試薬を注入した前後の管に注入したかどうか一瞬まようことがよくある.神経を集中しようと努力しているのだが,頭からどうしても離れてくれぬものがある.
近頃は朝目をさますたびに物が高くなっていることである.しかも生活必需品の上昇には目をまわしてしまうほどである.月給日の翌日でさえ,欲しい技術書なり医書さえ今日このごろは家計を思えば遠慮せねばならなくなった.共稼ぎしてなんとかやりくり算段できたのが,妻君の出産・育児で赤字になった家計のうめあわせをするため,夜おそくまで内職をする友人も珍しくない.医療機関は他の企業と異なり利潤のみを目的としていない以上,そこに働く多くの医療従業員はまさに今日の物価の高騰のため深刻に悩んでいるのである.その不安,心配が仕事の場に持ちこまれそれが仕事に大きな影響を及ぼすのは当然のことである.ましてや労多くして賃金の低い医療機関では,人手不足はますます拍車がかかり看護婦をはじめ患者の給食員らは1人で何倍かの仕事をせざるを得ない状態である.それでも今日では1人の給与で1人が1か月賄なえないのである.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.