組織と病変の見方—肉眼像と組織像の対比
生殖器とその病変(3)
金子 仁
1,2
1日本医大
2老人病研究所基礎部
pp.565-568
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908092
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
男性器の疾患は精巣(睾丸)の腫瘍が最も重要である.良性は少なく,悪性が多い.その中で一番多いのがセミノーマ(精上皮腫)である.‘精巣腫瘍を見たらセミノーマと思え’といわれるゆえんである、組織像は特有で,円形細胞の集合を弱い間質結合組織がとり巻き,この上に,リンパ球が散在している.時にセミノーマに胎児性癌が合併することもある.また胎児性癌のみの場合もある.いずれも悪性である.良性腫瘍の代表は奇形腫で,骨,軟骨,皮膚,筋など種々の組織を有する.前立腺肥大症は量も多い疾患で,一種の老人性病変と見てよい.排尿困難を主訴とするのが多い。前立腺癌は骨に転移することが多く,女性ホルモンが有効で血清の酸ホスファターゼの高い特殊な癌である.陰茎癌は包茎に多く,ブレオマイシンがよく効く.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.