組織と病変の見方—肉眼像と組織像の対比
生殖器とその病変(2)
金子 仁
1,2
1日本医大
2老人病研究所基礎部
pp.221-224
発行日 1973年2月15日
Published Date 1973/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907995
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
女性生殖器疾患として最も恐るべきは癌である.卵巣にも発生するが,最も多いのは子宮癌である.このうち95%は子宮膣部付近に発生する頸癌である.体癌はわずかである.前者は主として扁平上皮癌,後者は主として腺癌の組織像を呈する.組織像と細胞診をよく対比されたい.
卵巣病変で最も多いのは嚢腫である.デルモイドチステ(皮様嚢腫),漿液性嚢腫,偽粘液性嚢腫とある。デルモイドチステは毛髪があったり,歯があったりする.嚢腫はいずれも良性である.クルーケンベルグ腫瘍(Krukenberg's tumor)は消化管ことに胃癌が卵巣に転移したもので,両側に発生し,若い成熟婦人に多い.組織学的に印環細胞の多いのが特徴である.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.