Senior Course 細菌
Shigella sonneiのコリシン型別試験
橋本 雅一
1
1東京医歯大・微生物
pp.1480
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907869
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1932年Gratiaは,大腸菌のある菌株が同種のあるいは類縁のほかの菌種の菌株に殺菌的に作用する拡散性の物質を産生することに注目し,大腸菌を殺す作用をもつ物質という意味で,この成分をコリシン(colicin)と名づけた.このほかにも,Bacillus megaterium,Pseu-domonas aeruginosaとかYer-sinia pestisが産生し,主として同種のほかの菌株に殺菌的に作用する同様な成分も,メガシン(megacin),ピオシン(pyocin)およびペスチン(pestin)などと呼ばれ,このような成分が細菌の産生する殺菌性成分としてバクテリオシン(bacteriocin)と総称されている.バクテリオシンは,殺される細菌のなかで増殖しないという点で機能的にバクテリオファージとは違った成分であり,またこの成分に感受性を示す菌種の範囲がきわめて限定されているうえに,化学的にはタンパク質かポリペプチドである点で,抗生物質とも区別される.
コリシンは大腸菌によって産生されるだけでなく,サルモネラとかソンネ赤痢菌によっても産生される.このような知見からAbbott & Shannon(1958)は,ソンネ赤痢菌のコリシン産生性を利用してこの菌種を細かく分類する方法を考案した.これがこの菌種のコリシン型別と呼ばれる方法で,最近ソンネ赤痢菌による赤痢が細菌性赤痢の主体となっている点で,その感染経路,感染源の追求などの免疫学的研究に広く利用されている.
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