研究
酸素含量による左右短絡の判定基準
蔵本 築
1
,
松本 佶也
1
,
浅井 畝智子
1
1東大病院中検心臓カテーテル検査室
pp.804-806
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906881
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
心臓カテーテル検査は,心臓大血管内の各部位の内圧測定とともにその血液を採取して,左心系ではその酸素飽和度からチアノーゼ,右→左短絡の有無,程度を測り,右心系では肺動脈,右室,右房,上・下大静脈における酸素含量からFick法による心拍出量の測定とともに,酸素含量の上昇から左→右短絡の位置およびその量を推定することができる.
しかし各臓器からの静脈血はそれぞれ酸素含量が著しく異なり,またその血流が層流をなして心房心室に流れ込むため,右心系各部の酸素含量は短絡のない場合でも均一ではなく,肺動脈ではじめて一様に混合された静脈血となるものである.したがって短絡の有無を判定するには,まず短絡のない症例でのバラツキの大きさから一定の基準を求めることが必要である.その目的でわれわれは,無短絡例についてそれぞれ隣合う部位の間の差とバラツキの大きさを求め,また短絡例について実際の酸素含量の上昇度について検討した.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.