1ページの知識 細菌
検体別細菌検査(2)
土屋 俊夫
1
1日大・臨床病理
pp.572
発行日 1970年6月15日
Published Date 1970/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906815
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3.尿
尿の細菌検査は腎盂腎炎,腎盂炎,尿路結核(腎結核,膀胱結核),膀胱炎,尿道炎などの尿路感染症,および腸チフス,パラチフスなどのサルモネラ症,ワイル病などのレプトスピラの場合に,病原菌検索の目的で行なわれる.
腎盂腎炎,膀胱炎の原因菌は大腸菌その他の腸内細菌,緑膿菌,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌・腸球菌などで,いずれも尿道あるいは外陰部に常在しうる菌である.したがってこの場合,菌の種類だけから原因菌か混入した常在菌かの区別は不可能であり,採尿のし方が大いに問題となる.常在菌として存在しない淋菌,結核菌,サルモネラ,レプトスピラなどが検出された場合は,採尿法が多少まずくて常在菌が混入しても,疾病がこれらの菌によることは明らかである.このように淋菌性尿道炎,尿路結核,サルモネラ症,レプトスピラ症と,腎盂腎炎,腎盂炎,膀胱炎の場合とでは,尿の採り方,検査の進め方にかなりの相違がある.
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