抗原抗体反応・1【新連載】
抗体の構造
松橋 直
1
1東大・医科研アレルギー部
pp.18-19
発行日 1970年1月15日
Published Date 1970/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906656
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血清学的検査法の基礎になるのは,いうまでもなく抗原抗体反応である。この抗原抗体反応は,抗原と抗体とが互いに適合しているときに,抗原と抗体の間で選択的に起こる反応であり,この選択性を血清学的特異性と呼んでいる.この特異性をもつ抗体が,どのような機序で作られるれるのかは現在なお明らかでなく,医学生物学領域における大きな研究テーマになっている.また抗原と抗体とが,どのような力関係で,互いに特異的に結合するかも興味ある問題とされている.しかし,本シリーズでは,はじめに,現在知られている抗体の構造を述べ,次いで,抗原抗体反応のいろいろの形式を図解し,読者の血清学の理解を深める道筋にしたいと思う.
抗体の構造を,卵白アルブミンで免疫したウサギのγ—グロブリンを用いて研究していたPorter(1959)により,画期的な発見がなされた.抗体分子はパパインの酵素作用により分解され,できた分解産物は卵白アルブミンと沈降しない.この混合液に酵素作用を受けていない抗卵白アルブミン抗体を加えても,もはや沈降物ができないから,その分解産物は抗原である卵白アルブミンと結合していることがわかる.さらに,分解産物の一部は不溶性になって,しかも,結晶状になることがわかった.
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