特集 血清学的検査—その本質と実際
血しょうタンパク異常
尿中タンパクの異常
永井 一男
1
,
有村 博行
1
1東京医歯大第1内科
pp.1195-1200
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906620
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はじめに
免疫学的方法を応用して尿中のタンパク分析を行なう場合,質的な異常と量的な異常とから考慮しなければならない.タンパク尿をその生成機序から大別すると,臨床的に問題となるのは2つの場合である.すなわち腎前性と腎性(糸球体性)タンパク尿であり,換言すれば尿タンパク組成の質的あるいは量的異常ともいえる.
前者の代表的なものは,骨髄腫やマクログロブリン血症にみられるベンス・ジョーンズタンパク(BJP)やHeavy chain病のH鎖フラグメントのように,免疫グロブリンの代謝過程に生成された分子量の小さなタンパク体が,血液中に増量し尿中に排泄されたものであり,後者は腎疾患などで糸球体に病変が生じ,血清タンパクが基底膜の破壊により尿中に漏出したものである.
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