用語解説
免疫
臼井 美津子
1
1東大血清学教室
pp.355
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906117
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生体が,病原体,あるいはその生体にとって異質な物質の侵入をうけたために,その病原体もしくは物質に対してもつようになった防衛作用,またはこれと同じ効果を先天的にもっている生体の防衛作用をさして免疫とよんでいる。したがって,麻しんや百日咳にかかると,その後ふたたび麻しんや百日咳に感染することがないこと,種痘をうけると痘瘡にかからないこと,またちかくは,ポリオの生ワクチン服用によってそれの予防に著しい効果のあったことなどは,いずれも免疫のおかげとしてよく知られている。このように,生体が病原体などの侵入によって自力で獲得した免疫を活動免疫とよんでいる。また,ジフテリヤや破傷風にかかった場合,これらの細菌の毒素に対するウマの抗血清を注射するとすみやかに治療の目的が達せられることや,毒蛇に咬まれたときにも,その治療として蛇毒に対する抗血清を用いることなどもよく知られているが,これは患者が自力で獲得した免疫のためではなくて,あらかじめウマにつくらせてあった活動免疫をヒトがもらいうけて,その毒素に対して防衛をなしえたわけである。このように,活動免疫をもつ別の生体からもらった免疫を受身免疫という。活動免疫も受身免疫もいずれも生体が後天的に獲得したものであるので,これらを後天免疫または獲得免疫という。
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