今月の主題 免疫診断法と免疫療法
基礎知識
免疫機能と免疫不全
小林 登
1
1東大小児科
pp.762-768
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207890
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はじめに
人類は,地球という生態圏の中で感染症と戦ってきたし,また現在も戦いつつあり,将来も戦っていくであろう.過去における感染症との戦いで,人類は「一度かかった感染症には二度かかることはない」という事実を学んだ.その代表は天然痘である.本症は皮膚に明らかな症状を発現し,しばしば死の転帰をとるが,生き残れば瘢痕がみられるので,上の事実は古くから明らかであったのであろう.
この体験的な事実の科学的(医学的)分析の過程で免疫学immunologyは体系づけられた.そのルーツは,Dr. Edward Jennerが1798年に発表した論文,"AnEnquiry into the Causes and Effects of Variola Vacciniae"(痘瘡牛痘の原因と効果に関する調査)であった.それは,民間に伝承されていた牛痘接種を医師として試行し,その有効性を分析し確認した臨床的な研究であった.
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