Japanese
English
綜説
神経組織一般の電子顕微鏡像
ELECTRON MICROSCOPY OF NERVOUS TISSUE
本陣 良平
1
Ryohei Honjin
1
1金沢大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Kanazawa University School of Medicine
pp.5-29
発行日 1960年1月1日
Published Date 1960/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200874
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いとぐち
神経組織の微細構造解明の為に,可視光顕微鏡(以下「光顕」と略記する)の視野に,神経組織の個々の構成要素を可視的に染別してもたらそうとする努力が,前世紀から今世紀に亘つて多数の研究者によつてなされてきた。この努力は多数の優秀な染色標本製作手技として結実し,これによつて,神経組織を構成する各種の細胞や繊維の,一般的形態や大きさなどの特徴に関して,輝かしい多彩な知見がもたちされた。しかし光顕検索による場合,理想的な使用時においてすら,その0.2μの分解能を超える所謂超微構造を覗うことが出来ず,又光顕標本製作時に使用される従来の固定法は,細胞及び繊維の内部構造を強く破壊し,微細構造に関する従来の所説が,多くは推論の域を脱し得なかつたことも否めない事実である。電子顕微鏡(以下「電顕」と略記する)の示す高解像力と密度に対する鋭敏性が,神経組織の超微構造解明に,大きな力を示しつつあることは,今更言うまでもない。
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