技術解説
クームス試験
徳永 栄一
1
1日本赤十字社輸血研究所
pp.223-226
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905819
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1.クームス試験の原理
赤血球の血液型に対する抗体の中には,食塩水に浮遊した血球と結合するが凝集を起し得ない種類の抗体がある。こういう抗体を非定型抗体あるいは不完全抗体と味ぶ。クームス試験は非定型抗体の検出法の一つとして始められた術式であるが,現在では血液型抗体のみならず他のいろいろな抗体の検出にも応用されるようになつた。
クームス試験の原理はつぎのようなものである。抗体は血清グロブリンであるから,非定型抗体によつておおわれた赤血球とは,血清グロブリンの附着した赤血球ということになる。あらかじめ血清グロブリンに対する抗体を他の種類の動物を免疫することによつて作つておき(この抗体がクームス血清である)非定型抗体におおわれた赤血球に加えると,赤血球表面の非定型抗体とクームス血清とが反応し,その結果二次的に赤血球が引きよせられて凝集するに至る。すなわち非定型抗体のみでは凝集反応を起さなかつたものが,クームス血清を加えた結果凝集反応を起すのであつて,これがクームス試験の原理である。クームス試験は一名抗グロブリン試験とも呼ばれる。クームス試験を大別して直接クームス試験と間接クームス試験とする。
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