研究
日常の臨床検査としての脂肪負荷試験
富田 仁
1
1京都大学医学部附属病院中央検査部
pp.179-182
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905811
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現今のclinical routine workは主として早朝空腹時もしくは安静時に行われている。併しそれだけでは充分とは言い難く,潜在性の状態までも発見することは到底出来ない。ここに種々の負荷試験が発達して来た。GTT,ITT,ACTH試験,運動負荷試験等枚挙に暇がないが,負荷試験の最も欠点とする所は,長時間を要し繁雑であることである。この欠点さえ除けば負荷試験も充分routine workとして採用し,正確な臨床診断,予後判定に役立てることが出来る。この様な目的のため脂肪負荷試験を企画した。脂肪負荷試験は未だclinicalroutine workとしてはなく,研究の範疇に属するものとして,脂肪負荷後の血中総脂肪,総脂酸,コレステロール,燐脂質等の測定,或いは放射性同位元素を用いこの脂質代謝の研究等多くのすぐれた研究がある。著者は脂肪食後に出現する血清の溷濁つまりchylomicron (主として中性脂肪)のみを測定して見ても,臨床的に清浄因子clearing facterの間接測定ともなるので有意義と考え,脂肪食後の血清の濁度測定を考えていた。イタリーのRossi&Rulli1)2)が,640mμの波長の光における血漿の吸光度を以てchylomicronを測定しているのを知り,一定の脂肪食負荷後の血清の濁度測定を臨床検査の一つとした。
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