臨床検査メモ
臨床化学分析談話会抄録
丹羽
pp.258-259
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905693
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血清コレステロール測定はビタミンAの影響を受ける
最近Zlatkis等の方法1)或はその変法を用いて血清総コレステロールを定量することが盛に行われているが,この方法では血清中のビタミンAの影響を受けて高い値が出るという文献があつたので御参考までに紹介する。
Ktnley-Krause2)は5名の患者についてCarr-Price法で血清ビタミンAを定量したところ,28〜55μg/dlであり,大体成書記載の値に一致していた。次いでその血清中総コレステロールの値を上記Zlatkis等の方法及び,Schönheimer-Sperry法で測つたが両方法による値は良く一致していた。然し血清100mlにつき30,120〜150μgのビタミンAを添加して測つた場合,Zlatkis等の方法では夫々10〜15,100〜200mg血清総コレステロール値が高く出た。後者のSchönheimer-Sperry法では150μgビタミンAを添加しても殆んど血清総コレステロール値は無添加の場合と同様であつた。これは恐らくShönheimer-Sperry法ではジギトニンを使用してコレステロールを沈澱させるため,ビタミンAと分雛することが出来るためであろう。
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