検査室管理
輸血部の検査室管理—1級技術士のために
村上 省三
1
1日本赤十字社輸血研究所
pp.329-333
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905583
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最近の輸血領域における進歩は,それが臨床に関する部門であつても,はたまた基礎医学に関する部門であつても,まことにいちじるしいものがある。輸血部はそのうち主として基礎医学における知識を十分に活用して,臨床への応用を有効適切ならしめるために存在するものであるが,その重要性はますます大きくなつてきている。わが国に血液銀行が導入された当初には,血液銀行業務に適任であると思われる専門家はほとんどゼロに等しく,いずれもが輸血学に属する領域のごく小部分に精通していたにすぎなかつたので,ある病院では外科医が,ある病院では内科医が(血液学専門でない),また他の病院では他の科の医師が,これまた血液銀行の業務にうとい技術者を助手として輸血部の業務を担当せざるを得ない状態であつた。そしてこれらのパイオニアたちは多くの辛酸をなめながら,それぞれの専門の立場から,まじめに輸血学に取り組んでいかれた。それ故その1つ1つについて言えば,その運営はただ"大過なくやつていけた"といつた程度であつたであろうが,それによつて得られた知識を綜合すると,ここに輸血学について1つの体系が生まれ,輸血部の正しい運営はかくあるべきだとのアウトラインができ上つてきている。そして今日では,輸血部への関心は更に広くかつ深くなりつつあり,そのなかから輸血学を専攻するにふさわしいと思われるグループが育ちはじめている。
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