技術解説 血清混濁反応
Gros反応
柴田 進
1
,
高橋 浩
1
1山口医大臨床病理学教室
pp.403-405
発行日 1958年7月15日
Published Date 1958/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905484
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Gros反応は1939年Walter Gros1)によつて発表された一種の血清膠質反応で,赤血球数計算の際稀釈に用いるHayem液を血清に滴下し混濁するまでの消費量をよむというごく簡単な方法である。その本態は他の血清膠質反応と同様充分には解明されていないが,Hayem液消費量の減少化には血清蛋白成分の変化が密接に関係するとされ,Grosが記載したように血清高田反応陽性度とほぼ一致した成績が得られるから2)〜4),これに代る簡便な肝機能テストとして臨床上愛用されるに至つた。この解説ではGros反応と血清蛋白成分との関係および肝障碍診断法としての価値については後に触れることとし,まず本反応の実施者をしばしば困惑させる反応終末点の不明瞭性から述べたい。
試験管にとつた血清にHayem液1滴を落して振り,一寸間をおいて1滴落しては振りして混和しこれを注意して観察すれば次のような変化がみられる筈である。はじめはHayem液の添加により血清の透明さに影響はないが,添加量が増すとHayem液を加えた後かすかに雲のような濁りが現れ管を振つて混和すれば消える点に達する(いわゆる初雲絮。これを第1点とする一著者)。更に試薬の滴下を重ねるとやがて生じた濁りが管を振つても消えなくなる(この持続性混濁の出現を第2点とする一著者)。
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