特集 造血器腫瘍
Ⅲ 検査法の基礎知識
5.フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー
清水 長子
1
,
川合 陽子
1
Nobuko SHIMIZU
1
,
Yoko KAWAI
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部
pp.1274-1282
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905228
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はじめに
白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍の診断には,光学顕微鏡での細胞の形態観察をする形態学的診断(morphological diagnosis)と,細胞表面マーカー検査による免疫表現型病型診断(im-munophenotyping)と,染色体検査による核型診断(karyotyping)の三者が最も重要である.特に,レーザーフローサイトメトリーを用いた細胞表面マーカー検査は,迅速・簡便に造血器腫瘍の細胞帰属や腫瘍化の分化系統段階を判定することが可能であり,造血器腫瘍などの診断には不可欠な検査になっている1~7).
フローサイトメトリーを用いた検査として「リンパ球サブセット検査」および「造血器腫瘍表面マーカー検査」が普及している.前者はリンパ球のT,B,NK細胞の比率,CD4/CD8比を算定し,免疫動態の診断に有用である.後者は細胞膜表面に存在する蛋白質,糖蛋白などをモノクローナル抗体の反応性によって検出する検査で,分化抗原の分析は腫瘍細胞の系統(lineage)を決定することができる.用いるモノクローナル抗体はCD (cluster of differentiation)番号で整理されており,細胞表面抗原の検査にはモノクローナル抗体に蛍光標識したものを用いる.
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