トピックス
フローサイトメトリーによる細胞表面抗原定量化の試み
池田 忠子
1
1杏林大学医学部臨床病理学教室
pp.1090-1092
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903285
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はじめに
細胞生物学の飛躍的な発展は測定技術の進歩に負うところが大きい.その1つにフローサイトメトリー(flow cytometry;FCM)の開発がある.FCMにより細胞のさまざまな生物学的特性が単細胞レベルで迅速かつ的確に分析できるようになった.FCMは臨床的にもすでに広く利用されており,特に蛍光標識モノクローナル抗体(monoclonal antibody;MoAb)を用いた細胞表面抗原の解析は,白血病など造血器腫瘍や免疫疾患などの診断に大いに役だっているが,解析過程で得られる各種情報,すなわち前方散乱光(forward light scatter;FSC)や蛍光強度(fluorescence intensity;FI)などの情報は,細胞選別や抗原検出に利用される程度にとどまり,その臨床的意義や相互関係については十分な検討はなされていない現況にある.細胞当たり抗原量を反映するFIと細胞サイズ(FSC)との関連についての研究は,検索した限りでは,急性リンパ性白血病共通抗原(common acute lymphoblastic leukemia antigen;CALLA)発現に関するLookらの報告1),巨核球上の糖蛋白発現に関するTomerら2)の報告など比較的少数である.
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