今月の主題 インフルエンザ―新しい知見
話題
インフルエンザワクチンの現状と課題
森島 祐子
1
,
関沢 清久
1
Yuko MORISHIMA
1
,
Kiyohisa SEKIZAWA
1
1筑波大学臨床医学系呼吸器内科
キーワード:
インフルエンザ
,
ワクチン
,
予防接種法改正
Keyword:
インフルエンザ
,
ワクチン
,
予防接種法改正
pp.175-178
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905041
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1.はじめに―予防接種法の改正
2001年11月よりわが国では新たな予防接種法が施行され,インフルエンザは二類疾病(個人の発病・重症化防止及びその積み重ねとしての間接的な集団予防を図る必要がある疾病)に分類された.つまり,国が高齢者に対してインフルエンザワクチン接種を奨励し,重篤な副反応による健康被害について責任を負うことになったのである.ただし,集団予防を目的とした一類疾病(ジフテリア,百日咳,急性灰白髄炎,麻疹,風疹,日本脳炎,破傷風)に対するようなワクチン接種の努力義務はなく,あくまで個人予防という位置づけで,希望者のみに接種される.
わが国ではかつて,学校など集団生活でのインフルエンザ蔓延が地域社会への感染拡大につながるという考え方から,1962年から勧奨接種として,1976年からは予防接種法のもとに学童中心に集団接種が行われていた.ところが,その有効性,流行抑制効果および安全性が明確でないという議論がなされるようになり,1994年の予防接種法改正において接種対象疾患から外され,以後,希望者のみが自己負担で受ける任意接種となっていた.しかし,高齢者やハイリスクグループに対するワクチン接種の有効性については世界的に数多くの報告がなされており,近年,わが国において高齢者のインフルエンザ関連死が急増したこともあって,ワクチン接種の重要性が再認識されたのである.
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