編集者への手紙
時機を得た本誌特集「テーラーメイド医療と臨床検査」(46巻1号)
中 恵一
1
1大阪市立大学医学部臨床検査医学
キーワード:
テーラーメイド医療
,
EBM
Keyword:
テーラーメイド医療
,
EBM
pp.698-699
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905133
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本誌46巻1号のゴモ題は,「ラーラーメイド医療と臨床検査」であった.キーワードである「テーラーメイド医療」に対する定義は,巻頭言で本誌編集主幹の菅野剛史(浜松医科人学・副学長)が解説している.すなわち,「患者それぞれの体質,生活環境を意識したくその患者に対する独自の医療を実践することである」と言い,加えて,「EBM (事実に立脚した医療)がその背景にあることは重要である」と言っている.
ここで,菅野がEBMを和訳しようとしたカッコ内の言葉は,日本語でEBMを理解しようとするうえで,とても混乱する.例えば,現実に数々の誤解が生じていることを,日本国内の医療施策についてアメリカから弛まず強烈に批判する李啓充(マサチューセッッ総合病院・ハーバード大学助教授)が,「EBMに基づいたガイドラインの滑稽」と題して,日本の関係者,特に厚生労働省が直輸入してにわか勉強でねじ曲げたEBM概念のキャンペーンに踊らされる日本国内の現状を揶揄している(週刊医学界新聞,2002年3月4日・第2476号,p4).李は同論評で,「EBMは,その別名を,<tailor-made medicine>,あるいは<customized medicine>というように,個々の患者に最適な医療を〈特注〉しようと努力する医療である」として,菅野がEBMは「テーラーメイド医療」の背景にあるというのに対して,両者は同義語であるとしている.
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