今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・1
セルロースアセテート膜と反応するM蛋白
藤田 清貴
1
Kiyotaka FUJITA
1
1信州大学医療技術短期大学部衛生技術学科
pp.4-6
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905008
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血清蛋白は各種疾患および病態においてさまざまな特徴的な変化を示す.一般に,量的に多いアルブミンや免疫グロブリンが変動しない限り,総蛋白量は異常値を示さない.そのため血清蛋白分画検査を行い,アルブミンおよびα1,α2,β,γの各グロブリンの分画比とデンシトメトリーによる峰の形状によって病態を推測している.日常の血清蛋白分画検査は,セルロースアセテート膜(セ・ア膜)電気泳動法によって行われているが,ときとして判断に迷うような異常パターンに遭遇することがある.
図1に原発性マクログロブリン血症例1)のセ・ア膜電気泳動パターンを示す.Separax膜を支持体とした場合,原血清では塗布点のα1からβ位に残る幅広い異常蛋白帯が観察された.しかし,電気浸透現象がほとんどないSeparax-SP膜ではそのような異常蛋白帯は観察されず,midからslow-γ位にかけて明瞭なM蛋白帯が検出された.免疫固定電気泳動により,そのM蛋白は1gM-μ型と同定された.
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