特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅲ.循環器
5.大動脈疾患
伊藤 浩
1
Hiroshi ITO
1
1桜橋渡辺病院循環器内科
pp.1383-1386
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904941
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はじめに
高齢化と食事の欧米化により動脈硬化に起因する疾患が増加しており,その早期発見や病態評価のためにエコー法が用いられる機会が多くなった.エコー法の特徴は非侵襲性と高い分解能に加え,血流情報が同時に得られることである.エコー法は発信周波数が高いほど画像分解能は向上するが,周波数に反比例して減衰が大きくなるため描出される範囲が浅くなる.したがって,経胸壁アプローチで深部にある大動脈などの血管を詳細に観察するには制約がある.それを補う意味で経食道エコー法が活用されている.
経胸壁アプローチでは大動脈基部,上行大動脈,弓部大動脈とその分枝および腹部大動脈の観察が可能であるが,上行大動脈の上部や胸部下行大動脈の観察は困難である.経食道アプローチでは上行大動脈の一部を除いた胸部大動脈の観察が可能である.両者を使い分けて初めて大動脈全体の観察が可能となる.このような両者の特徴をよく理解したうえで診断にあたるとよい.
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